みなさん、こんにちは
今日は、手のリハビリやケガの理解に欠かせない「手首まわりの骨」についてお話しします。手首は「橈骨(とうこつ)「尺骨(尺骨)」「手根骨(しゅこんこつ)」と呼ばれる複雑な骨の組み合わせでできていますが、実はこの部分を知っているだけでケガの原因や治り方がグッとわかりやすくなります。
まずは、手外科の世界で最も基本となる”骨の構造”をシンプルに解説していきます。
1.橈骨(とうこつ)

橈骨は前腕の親指側にある骨で、手首の動きの中心をつくる大切な骨です。特に手関節の関節面をほとんど橈骨が担っているため、転倒して手をついたときに折れやすい場所としても知られています。
橈骨が大切な理由
・手首を曲げる・伸ばす・回す動きの中心
・骨折するとフォーク状の変形(コーレス骨折)になりやすい
・手根骨(特に舟状骨・月状骨)と密に関わっている
豆知識:橈骨の「茎状突起」
橈骨の端には”茎状突起(けいじょうとっき)”と呼ばれる出っ張りがあります。レントゲンをみる時の重要な指標となります。
2.尺骨(しゃっこつ)

尺骨は小指側にある細長い骨です。橈骨と比べると手首の関節面にはあまり関与しませんが、前腕の安定性に重要な役割を持っています。
尺骨の特徴
・手首では軟骨(TFCC:三角線維軟骨複合体)を介して手根骨と接する。
・ひねる動き(回内・回外動作)に深く関わる。
・前腕の「長さの差(positive ulnar variance)」が手首痛の原因なることもある。
豆知識:名前の由来が”1尺”の語源
実は、昔の「1尺(約30cm)」という長さの基準は、成人男性の尺骨の長さが元になっていると言われています。骨の名前が長さの単位と繋がっているのは面白いですよね。
3.手根骨(しゅこんこつ)

手根骨は8つの小さな骨が集まった集合体です。これらの骨がアーチ状に並び、手のしなやかさや強度を作っています。
手根骨の並び(覚え方にも人気)
・近位列(腕に近い):親指側から舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨
・遠位列(指に近い):親指側から大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨
8つもあるので一つずつ、簡単に説明していきますね。
①舟状骨
名前の由来は形が舟の形に似ているから舟状骨と呼ばれています。個人的にはあまり似ているとは思わないですが、偉い方たちがそうおっしゃっているので似ているということなんでしょう。
この骨は栄養血管が複雑な走行をしており、血流が乏しく骨折すると骨癒合(骨が治ること)がしにくい代表的な骨です。また救急で来た際に見逃されやすく、痛みが続き、専門医を受診した際に発見されることは手外科では有名な話です。
②月状骨
名前の由来は側面像が半月に見えるため、月状骨です。「キーンベック病」と呼ばれ、月状骨が壊死しています病気で有名です。原因としては前腕の長さだったりすることもありますが、特発性の場合もあります。レントゲンを見た際に”月”のイメージで覚えやすいです。
③三角骨
名前の由来は形が三角形なので三角骨です。これもいつもレントゲンで見ますが、あまり三角形だと思ったことはないですね。TFCC(三角線維軟骨複合体)と関連が深く、スポーツなどでも手関節尺側痛の原因になります。
④豆状骨
名前の由来はその名の通り、豆みたいだからです(笑)。どれが豆状骨ですか?と聞かれたら一瞬でわかるレベルにわかりやすいです。サルなどの動物は、豆状骨がもっと大きく発達しているそうです。ちなみに尺側手根屈筋腱が付着し、この骨が滑車の役割を果たしており、”握力アシスト骨”ともいえます。ただ時々、OA(変形性関節症)を起こしたりして、手指屈筋腱が擦れて切れてしまうこともあり、手術で摘出することもあります。
⑤大菱形骨
大きな台形の形をしているため、大菱形骨と呼ばれます。親指の付け根のCM関節をつくる大切な骨です。使いすぎなどでなる母指CM関節症の中心となる骨です。そのため、手外科手術で部分骨切除や摘出術による関節形成術などが行われます。
⑥小菱形骨
この骨は小さい台形の形のため、小菱形骨です。比較的骨折などはあまり認めない骨です。しかし、第2中手骨や舟状骨、大菱形骨、有頭骨と隣接しており、全体の安定性に関わる重要な”つなぎ役”としての存在です。
⑦有頭骨
頭のように丸い形のため、有頭骨と呼ばれます。手根骨の中で最も大きい骨です。手首の中心で手根骨の王様とも呼ばれます。骨折は稀ですが、折れると重傷な骨です。この骨が折れるくらいの外傷と考えるとすごく重傷ということです。
⑧有鉤骨
名前の由来は骨に”鉤状突起”と呼ばれる鉤(フック)があるため、有鉤骨です。モリ(槍)漁をする人は、手関節を尺屈させた状態で長時間作業を行うため、鉤状突起の部分で屈筋腱と摩擦を起こして屈筋腱損傷を認めることがあるという報告があります。このようにZone4での腱損傷の好発部位です。
まとめ
手首は「橈骨・尺骨・手根骨」という複数の骨が協力して動く、とても精密な構造です。これらを理解しておくと、
・手首の痛みの原因
・リハビリで何を大切にするのか
・ケガのタイプ
などが格段にわかりやすくなります。
次回は、それぞれの骨に関する代表的な疾患をまとめていきますね!


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